Tの英語の実力(その1) | 俺様について

 

Tは英語が高校の頃から得意で、明治大学に入ってからも通信教育だとかもやり、英語は趣味みたいなもので得意だといっていた。
それに引き替え、俺様は模擬テストで偏差値20台をマークしてしまうぐらい不得手だった。

英語の他には、Tも俺も大学の第二外国語で中国語を習っていたが、そんなに使えるレベルのものでもない。しかし、ホテルなどでは英語が通じるので、Tがいれば大丈夫ということで結構安心していた。

中国についたのは夜で、あらかじめ予約していたホテルで一泊。翌朝の朝食をホテルのレストランでとることになった。
席に着いて待っていると、ウェイトレスの人が来て

 「Tea or Coffee?」

と聞いてきた。
そのくらいなら俺様でもわかるが、一応やりとりはTが英語で担当ということになっていたので、黙ってTが答えるのを待っていると、

 「Yes!!」

とTが力強く答えた。

 『おいおい、会話になってないぞ』

と、すぐ思ったが、そこは英語の偏差値が低い悲しさ、『そういう風に答えるものなのかもしれない』とも思ってしまう。
しかし、チラッとウェイトレスを見ると、

 『は?こいつは何を言ってるんだ?』

というような顔をしていたので、

 「こ、コーヒープリーズ」

と俺様はおずおずと答えた。ウェイトレスは頷いた。

 「おれも」

と遅れてTも答えてた。それも、日本語で。ウェイトレスはそれでも頷いていた。