3月 1 1998
T | 俺様について
入社したての頃、見つけられないバグを先輩のKさんに見つけて貰ったとき、特殊な知識で解決していたので、何でそんなことを知っているのかと聞いたところ、
「何かにつけて、雑誌とかのに目を通して、すぐ必要な知識ではなくても、重要なところはスクラップしておくんだ。 そして、後で必要になった時、それを引っぱり出して調べる等している内に覚えていくもんだ。」
と言われた。
『おお、そういう物かもしれない』
と軽い衝撃を受け、それ以来コツコツとスクラップを続け、何かあるとそれを調べる様にしている。おかげでかなりの量になり、あまり整理していないので、見た目はグチャグチャだが、内容を比較的覚えているので引き出すのにはあまりくろうしない。
ある日、後輩のTが質問して来たので、スクラップした膨大な資料の中から、そのことに関連する記事を取り出して答えてやると、なんか『おおっ!』っといった表情をしている。
『感心してやがるな。 ここはKさんに言われたセリフで決めてみるか』
と思い、口を開こうとしたその瞬間、
「『物を捨てられない症候群』なんですね。」
と言われた。
さっきの表情は、資料の多さと、その煩雑さに呆れたものがにじみ出たものだったらしい。
『決めぜりふ』を奪われ、訳の分からない症候群にまでされてしまった上、呆れられてしまったのが眼から血が出る程悔しかった。
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3月 1 1998
電車で | 俺様について
飲み会の帰り、川崎から家に帰ろうと電車に乗っていた。
余り混んでいなかったが座れるほどでもないので、扉のすぐよこの角に扉方向を向いて立っていた。
程良い酔い加減でボケェ~っとしながら立っていると、屁をしたいと言う欲求が高まってきた。
酔いのためか後先考えず、
『音は出なそうだからいいや』
と放屁した。 音はしなかった。
ふっと我に返り考えると、尻のあたりに人の気配がする。
ドキドキしながらポーカーフェイスで振り向いていると、案の定、女の人が俺様のケツ下付近にいる。 座席の一番はじの所に座っている人だ。この位置だともろにガスを浴びる位置だ。
だが運が良いことに眠っているようだ。 だが、心なしか眉が曇り表情が険しい。もしかして寝たふりをしているのかもしれない。
しばらく観察していると
「うぅっ」
とうめき声を漏らした。やはり俺様のガスの影響か?
その電車は稲城長沼行きだったため、俺様は乗り換えの為降りたが、その人は目を覚まさず、険しい表情のまま折り返して川崎に向かって発車してしまった。
あるいは眠っている途中から気絶に切り替わっていたのかもしれぬ。
『いい夢を見ろよ』
と祈らずにはいられなかった。
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