2005年8月18日(木) その4 ドンムアン空港→日本帰国 | タイ旅行(26)

 

空港について、小便もした。
搭乗券も入手したし、後は日本に帰るだけだ。

チョット小腹が空いたので、簡単なファーストフードと缶ビールで一息。 さすがに空港では料金が高い。
他にお金を使うこともないので、銀行で日本円に換金する。 札とコインの合計で、300Bは記念に残しておこう。

その後、チェックインしに向かうと、回りのみんながなんか搭乗券と違うチケットを係員に渡している。 どうやら、空港使用料のチケットらしい。 しまった、空港使用料の事をすっかり忘れていたぜ。
近くの窓口で支払うらしく、行ってみると価格は500B。 支払はバーツのみで、ドルもダメ。 持っているバーツでは少し足りないので、またバーツへの換金の必要があるな。

すると、近くで様子を見ていたらしい、日本人の青年が、「バーツ沢山余ってるのであげましょうか?」と、声をかけてくれた。
貰うのは申し訳ないので、その分日本円で払う事にしたのだが、彼は「沢山持っている」と言っていた割には、260Bしか持っていなかったので、1000円で譲って貰うことにした。 俺の記念用に残していたのと併せてギリギリ足りた。

そして、その青年とチェックインしに向かうと、「あ!僕の空港使用チケットがない!」と焦り出す青年。 色々探してるが、見つからず、 「どうしましょう?」とか俺に言ってきてるが、無いのなら買い直すしか無いと思われる。
そこで、一緒に銀行に向かおうとしたところ、「ポケットに入ってました!」とチケットを見つけ嬉しそうに叫ぶ青年。 そこは真っ先に探すところだと思うが。

これだけ見ても解るように、彼は相当な粗忽者である。 その上、英語も全く喋れないので、チェックインでも係員の言うことを、勝手に変に解釈してトンチンカンな行動を取りまくってる。 相当時間をかけて何とかチェックイン完了していた。

彼は大学生で夏休みを利用した個人旅行だったとか。
タイに入国した後、直ぐにベトナムへ行ってそのままベトナムに滞在し、帰りに今バンコクにいるらしい。 タイではこの空港にしかいなかった事になる。
だったら最初からベトナム行きの航空券で往復すればよいようなもんだが、元々計画を立てずに来たので、なんかの流れでこうなってしまったとか。
たった1人の個人旅行でそんな動きをしているのか。 先ほどの様子から、「この調子でよく無事だったな」と思わざるを得ないが、

「いやー、行く先々で、日本人やベトナム人、その他いろんな人に助けて貰いましたよ。
みんなから『その調子でよく無事だったね』と言われました。 へへへ。」

とか言っている所を見ると、この明らかな粗忽っぷりも、彼の武器のようだ。 みんな見るに見かねて助けるのだろう。 そんな彼に、助けられた俺は、それより下のレベルなんだろうかと心配になってしまうな。

彼が個人旅行にした理由は、沢木耕太郎の「深夜特急」に憧れての事らしい。 俺にその本を読んだか聞くので、「今、タイの途中までしか読んでない」と答えると、「ダメじゃないですか。 タイを個人旅行するなら、あの本を読んでからじゃないと。」とか言っている。
つか、俺は別にあれに憧れての旅ではないし、沢木耕太郎はバンコクしかいなかったので余り関係ないのだが。 それより、この青年は、あの本に憧れたのに、なぜベトナムに行ってるんだか。 沢木耕太郎はベトナム行ってないぞ。

この青年はベトナムでの出来事が話したくて、話したくて仕方がない様子で、「ベトナムで面白い事が有ったんですが、聞きたいですか?」と目をキラキラさせて言ってくるので、聞かせて貰うことに。
しかし、彼の話は

「ベトナムの宿で女性がいて、親切で男の人がいて、カードで賭け事をしたんです。 違った。 宿屋じゃなくて… あ、カードじゃなかったです。 あの、…」

と、話が纏まっていない上に、興奮しながら焦って話すので、内容が前後したり、さっきまで言ったことが全部間違っていたと言ったりする。 その為、登場人物が何人いて、どういう流れででどんな事になったのか一向に理解できない。
とりあえずこちらからの質問を交えて、何とか理解出来たのは、

「ベトナムで賭け事をして、270万円請求されたが、払わずに済んだ。」

という事らしい。 イカサマで騙されたんだが、普通に負けただけなのか結局解らずじまいではあるが、適度に相づちを打ちながら話を聞いた。
一通り話し終わると、「そっちの話も聞かせてくださいよ。」と言うので、特にないと答えたのだが、「イヤイヤ、一つや二つ話があるでしょ?」とどうしても話せと言う。 仕方なしに話を始めると、途端に彼目からは光りが消え、無精髭をイジリながら、「はぁ、へぇ」とタイミングも合ってない、気のない相づちである。

俺はそれをみて早々に話を切り上げ、「そっちは他になんか有った?」と聞いてみる。 すると、待ってましたとばかりに、また目をキラキラさせながら「ええ! これが面白い話があってですね。」と話し始めた。
多分、俺に話を振るのも、自分ばかり一方的に話すのを悪いと思って、彼なりに気を遣ってたんだな。 しかし、今回の話も一向に内容が解らないのだが、最後に「なんと言っても270万円ですからねぇ」と言っている所を見ると、さっきと同じ話だったのだろうか?
それが終わると、「そちらの話は?」とまた聞くので、「もう、コレっぽっちも変わった事のない平穏無事な旅だったよ。 それより、そっちの話を聞かせてよ」と言うと、嬉しそうに「これが面白い話が有ってですね、」と始まって、いくつか話すのだが、結局最後は、「なんと言っても270万円ですからねぇ」で終わるところを見ると、やっぱり同じ話だったんだろうか。 きっと今回の旅行が、彼の大冒険で、270万円の話は、彼ご自慢の武勇伝なんだろうな。
本当に武勇伝と言える物だったのかもしれないが、この俺の頭脳を持ってしても、どうしても理解出来なかったのが残念である。

飛行機は、50分ほど遅れてタイを出国したが、特にトラブルもなく…、いや飛行機内で近くに変な人いて困惑したが、翌日早朝に無事日本に到着した。

日本の入国審査では今までに無いほどヤケに細かくチェックされ、麻薬犬まで後ろを歩かされた。
別に、大麻も何も持ってないから心配ないのだが、タイで数回犬に絡まれたので、そう言う意味でドキドキしたが、問題なしに通過。

お土産の鳴きカエル軍団             実は象が2体隠れてる

お土産の鳴きカエル軍団
実は象が2体隠れてる

こうして、タイ王国一人旅は無事終了。
第一目標のメコンの夕陽は見れず残念だったが、第二目標のアユタヤー観光もほぼ出来ず残念であり、…こう考えると当初の目標は、ことごとく失敗に終わっている。
んが、予想しなかった楽しみも数多くあり、大満足だ。 カエルの目利き他、得ることも多い旅だった。

タイ人はお世辞ではなく、親切な人が多かった。 個人旅行故に、直接接する機会が多く、そう感じたのかもしれないが。
英語は日本よりは通じるとは思うが、全く喋れない人も多かったが、たとえ喋れなくても突き放したりせずに一生懸命相手をしてくれるた。 有り難いことだ。
食べ物は屋台ばかりで済ませていたが、そこに有る物の何を食べても美味しく、果物も豊富で美味しかったな。
下痢も全く起こらず、何故か日本にいる時より、調子が良いぐらいだった。

もっと長い期間旅行したかったぜ。
将来、リタイヤ後の老後は、タイで生活というのも悪くないかもな