鈍器のような物 | どうでもいい話

 

8月13日の夕方、日本テレビをつけていたらニュースをやっており、

 「男性が、鈍器のような物で頭を殴られ死亡」

と言っていた。

なんか言葉に違和感を感じしばらく内容を聞いていると、やはり『鈍器のような物』で殴られたとアナウンサーが言っていた。

 この『鈍器のような物』って何だ?

『鈍器のようだけど実は鋭い物』か? 何だろう? 名前が決まっていない物で、
 『正面から見るとトンカチみたいだけど横から見ると、なんと薄くて刃がついていたり、どこからか弾が飛び出す』
とかいった物だろうか? しかも殴っていると言う事は、『でも、あえてそれで殴った』と言うことか?

おそらく、『まだ凶器が確定していないが、殴られたような痕がある』から、様々な可能性を込めて『鈍器のような物』と言っているのだろうか。 しかし、それなら『鈍器』でいいじゃないか。 『鈍器』と言う言葉自体に、金槌やこん棒とか一般を差す曖昧なものなんだし。

最近ニュースで使われている用語や、誰それの発言などで良くもめているが、俺様としては「そんなのどっちでもいいじゃん」と良く思っていた。 差別用語などの問題で、昔の本の文章が作者で無い人によって変わったり、発売中止になったりする事を苦々しく思っているぐらいだ。

しかし、そこまでモメているなら、ニュースの用語も吟味して使われているのだろう。 『鈍器のような物』と言うのも、凶器が確定した時に、どんな物であっても問題がない様に考慮して決められたのだろう。

だとすると『鈍器』ではなく、『鈍器のような物』と表現しなくてはならない理由があるはずだ。 よって、そこら辺を俺様の側近に討論させてみる

なお、『○○のような物』と言う表現は、『○○自体を含むかどうか』も問題になるな。 ここで、『○○自体を含まない』としてしまうと、どう考えても先のニュースの表現はおかしいので、ここでは『含む』事を前提としておこう。 話が進まないから。

[説1]『刃物の柄で殴られた』や『銃器で殴られた』とかの可能性を込めて、『鈍器の様な物』と呼んでいる。

納得できない。 例え一般的な使い方が刃物でも、柄で殴っているならそれは鈍器として使われているんじゃなかろうか?

[説1]『鈍器』と言う固有名詞の物がある。 そして、それに類する一般の物を、現在、鈍器と呼ぶ(ウォークマンの様な位置づけ)のではないか。

仮にそうなら納得できるので辞書を調べてみる。

『よく切れないが、重みのある刃物。また、重みのある棒状の道具。』(広辞苑第四版より)

良く切れなければ刃物も鈍器らしいとは初めて知ったな。 なおさら前の説は無効じゃ。
しかし、やはり『鈍器』と言うそのものは存在しない。 よってこの説も無効。

[説]人間の拳等で殴られたかもしれない可能性を込めて『鈍器の様な物』と呼んでいる。

プロボクサーとかの拳は凶器と見なすらしいが、一般的に人間の拳や脚にいかに威力があろうと、『鈍器』とはいわんよな。
うむ、一応納得できる。 だが、そこら辺までの範囲を考慮しているなら、何故蹴られたのではなく、殴られたと限定できるのか? もしや、『蹴る』とは、殴るの一種なのだろうか。 ・・・辞書をひいてみたがその様なことはない。 よってこれも無効。

[説1]人が倒れてテーブルなどに頭をぶつけたかもしれないので、その場合テーブルは鈍器と呼べない。

ならばやはり『殴られた』と言う表現がおかしいよな。

[番外編]『ドンキ』と言う言葉に似ている物で殴られた。

・ウンチで殴られた
ウンチで殴られ、怒りと屈辱で憤死

・モンキーで殴られた
猿で殴られて死亡。 『猿に殴られる』ならまだ分かるが、『猿で殴る』のは困難だろ。 猿を持ち上げてぶつけるのか? まあ不可能ではないが、何でそこだけ英語? 却下。 または、『モンキーレンチ』で殴られた? 確かに殴りやすい鈍器ではあるが・・・

・・・だいたい、何れにしろ似ている言葉に置き換えた地点で、”ような”と言う曖昧な部分が無くなってしまう。 そこまで凶器が確定しているなら素直にそう言うだろう。 却下。

 

- 結論 -

 

 やはり、ニュースの表現は間違っていると言わざるをえぬ。
 
凶器が確定されていないので、凶器を確定するのを避けるつもりだろうが、だったら『殴った』や、『鈍器のような物』とかで限定すべきではない。
では、どう言うかと言うと、『鈍器で殴られたような痕がある』と言うべき。 傷に対して曖昧さを加味すれば良いのだ。 これなら仮に何で殴られようと蹴られようと転けようと、「だってそんな痕があるんだもん」と言えば問題ないだろう。

これからは気をつけて頂きたいもんである。


-2000/10/28