2001年5月2日(水) エレガントインド旅行(21-終):さらばインド

 

空港に向かう。

別れ際に、ダーラムさんと運転手のマンシンさんへ、あらかじめ用意しておいたチップを渡す。
旅行中のダーラムさんの豪遊っぷりをみると、なんか幾ら渡して良いのやらよくわからなくなり、少額すぎる思われるのがなんか恥ずかしく感じて、ちょっと多めになったと思う。 Tは非常に迷惑をかけたので、さらに多めに出す事に

空港内にはガイドなどは入れないので、外でチケットの受け取り方などの説明を受ける。 ダーラムさんは外で待っているので、チケットが取れたら外に向かってそれを見せるように言われる。
なんとかチケットも入手できたので入り口の方へ戻り、遠くの方からこちらを見ているダーラムさんにそれを見せると、俺たちに向かって『OK!!』とグッと親指を立てて人混みの中に消えていった。
これがダーラムさんの最後の姿である。 きっと魔法のランプの中に戻って、次のご主人様を待つ眠りにつくに違いない。

出発までは時間があるので、余ったルピーの換金(銀行員の態度も冷たく相当手こずる)をしたり、なんなりと色々する。 つか、この地点が俺様の体調はもっとも悪かった。 もう視界がぼんやり白ボケて見える。 便所にも何度も行く。 もうぐったりである。 記憶もほとんど無い。 Tはどんどん回復に向かっているようで、下痢以外はいつも通りの体調のようだ。

なんか、俺は入国時に渡された紙を紛失して、書き直したりした記憶や、荷物の持ち込み時に、なんらかのタグを手に入れなくてはならないらしく、せっかく長蛇の列を並んだにもかかわらず、Tがどこかへそれを取りに行って、また長蛇の列を並んでいた記憶がある。 あれはなんだったのだろう? あれ俺は良かったのか? それとも俺の分もTが取りに行ってくれたのだろうか?
あと頭が油臭くてたまらんので、便所で洗った記憶もあるな。 ほとんど落ちなかったが。

空港では何度も便所に行ったが、インドの便所もここでお別れである。 個人的にはあまり手で拭いて洗うという事には抵抗がなかったな。 まあ、固体であった事がほとんど無いのだが。
しかし、何故インド便所の手を洗うための蛇口と桶は左手の後ろ、入り口付近にあるのだろうか? 必ずこの位置である。 尻より後ろにあるので、非常に使いづらいんだが。 左手を洗うので、蛇口をひねるのは当然右手であり、すると用を足している状態では使う事が出来ないんだよな。
・・・まさか日本と向きを逆にしゃがむのだろうか? それだと右前に有るので使いやすいと言えるが。 でもそうすると、キンカクシの向きが逆だもんな。 うーむ、ここら変は謎だ。 インド人の最中を除いてみない事にはわかるまいなぁ。

飛行機の座席は中央の4人掛けの真ん中2つが俺たちの席である。 非常にトイレに行くには不都合な感じだがしょうがあるまい。
Tの隣の人はクルタパジャマを着た女性である。 今考えると、なぜサリーではなくクルタパジャマなんだろうか? でもそれなりに着こなして似合っており、ちょっと美人。 ここに来てTにはステキな出会いが訪れたかと思われたが、彼女はずっと日記のような物を書いており、全く会話はなかった様である。
俺の隣はふてぶてしい感じの男である。 こいつはスチュワーデスを呼びつけては、あれ寄こせ、これ寄こせと注文をつけまくっており、『ほー、そんな事注文できるのね』と有る意味勉強になったが、とりあえず常にゴソゴソと動いて非常に鬱陶しかった。
終いには何か無くしたらしく、大騒ぎでそこら辺をひっくり返して、周りを巻き込んで探しだし、見つからないと「きっと誰かに盗まれた」みたいな事を言い出して、スチュワーデスに言い寄っていた。 結局どこぞに自分でしまっていたのを忘れただけで、出てきていたが。

俺の腹の中は休むことなくボコボコと沸騰している上に、隣にうっとしいおっさんがいてと、すこぶる不快な空の旅である。 何度、

 「うわぁー!! もう嫌だぁッ!!」

と窓を突き破って飛び出したい衝動に駆られた事だろうか。 しかし仮に実行に移そうとしても、あの時の体力では窓どころか、障子を破るのが精一杯だっただろうな。

そんな感じで数時間、なんとか日本にたどり着く。
何かあったら嫌なので、検疫の所で自らすすんで検便をうける。 検便と言っても、なんか短い棒を尻に突っ込んで一周させると言うものだった。 結果は、「何か発見されたら連絡するが、連絡が無ければ大丈夫です。」と言う、まるで「結果は発表をもって変えさせて頂きます」と言う懸賞みたいである。

空港を出ると、何処にも寄らず逃げるように家に向かう。
なんと言っても頭がクサイし、ベトベトで気持ち悪い。 帰りに乗ったスカイライナーの座席の頭のカバーは、Tと俺様の席は油でギットリになってしまった。
家に着くまでの間中、「早く風呂なりシャワーなりを浴びたい」と言う、しずかちゃんの様な欲求のみが頭の中を占めていた。

何はともあれ、こうして命だけは取られずに、日本に帰ってくる事が出来た。
検便の結果も連絡が無かったので、何も発見されなかったのだろう。 しかし、このあと1ヶ月間は激しい下痢が続き、出張先などでも俺様を悩ませるのであった。 あんなに激しい下痢のまま、あんなに長期間かかっているなんて本当に驚いた。 恐るべしインドである。

Tに、「いつかインドにリベンジするか?」と聞くと、

 「うーむ、死ぬまでに一度ぐらい行っても良いが、進んで行く気は起きないな。」

と答えていた。
当時俺も同感であったが、今になって、

 『今度はツアーではなく個人旅行で行きたい。 そして色々心残りだった事を為し遂げるのだ!!』

と思うようになっている。 懲りない奴である。

おしまい。

 


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