2001年4月30日(月) エレガントインド旅行(14):知らない街を歩いてみたい

 

Tのノーテンキインド旅行記 8

土産をめぐりがっくりしていた俺らは、気を取りなおして街に出掛けることにした。

ホテルを出て、とりあえず市の中心部に向かって歩き出す。というかたぶん中心部に向かって・・・。
うーん、人が多いぞ。とっても多い。俺様と違って俺はデリケートで人込みに入ると、ぐったりしてしまう。金曜日の新宿とかでもぐったりしてしまうのだ。
その上ここはインドだ!インド人ばっかりだ!疲れることこの上ない。

とりあえず歩きはじめて、気付いた事がある。
観光地だと、やたらと声を掛けられ「見るだけ!」とか言われるがここは市街地である。じろじろ見られる事はあるが、声を掛けられる事はない。
うーん良く考えたら観光地より歩きやすいのかも知れぬな。
壷屋があったり、菓子などを売っている店があったり、フルーツジュースを作って売っている屋台もある。
しかし、さすがに屋台の食物や飲みものは怖くて手が出ない。

さて、実はここで俺らには「街で自分でミネラルウォーターを買う」という大目標があった。 観光地ではガイドであるダーラムさんが全てやってくれるので、俺らは、すっかり過保護な坊やとなっていたのである。
また、昼間シティパレスでミネラルウォーター1リットルを2つ50ルピー(約150円)で買ったらダーラムさんに

 「高すぎるよ、一つ12ルピーくらいだよ」

と注意された(馬鹿にされた?)。どうやらぼられた様である。 くそう。
そんなわけで、街ではいったいいくらで売ってくれるのか試そうというわけである。 また、ぼられずに買うという目標もあった。
しばらく歩くと、ほどほどまともそうな店を発見!ミネラルウォーターも売っている!
よし、ここだ!昼間は俺がぼられたので、今度は俺様がチャレンジ!

 「ミネラルウォーター トゥー プリーズ」
 「20ルピー(約60円)」
「へ?」

へ?二つで20ルピー?昼は1個で25ルピーも取られたのに!
無事、水を2つゲット!よく見りゃ、”10Rs”と書いてある。 種類は違うが、そんなに値段が変わるわけなかろう?
後でホテルで昼に買ったミネラルウォーターのビンをみたら値段欄が空白である。
これはきっと観光地用に売られているもので、きっと日本人を騙す為に開発されたに違いない。 まったくとんでもない国である。この国は!

無事、水をゲットし、しばらく歩いたが、特に変わり映えしないのでUターンし、ホテルに向かう事にする。
しばらくして、そこら辺の屋台にいた少年と目が合う。 なにか、こちらに向かって叫んでいる。そして少年二人が近寄ってくる。

 「アーユージャパニーズ?」
「ドゥーユーノウジャキーチェン?」

とか言っている。
しばらく会話に付き合ってやればいずれ去るだろうと思っていたが、少年二人はずっとついてくる。
そのうち

 「明日試験があるから、ペン持っていたらくれ」

とか、だんだんとつけ上がってくる。 うっとしくなってきたがずうっと付いてくる。 さらに、

 「日本のコインを集めている」

とか言いやがる。俺は日本円は全てホテルのバックの中にしまってあったが、俺様がちょうど持っていた、100円玉と10円玉を、プレゼント。 彼らはとても嬉しそうである。

結局、ホテルの前まで付いて来て、やっと去っていった。
彼らの目的は何だったのだろう? 単に日本人に興味があったのか、何かをゲットしようという腹だったのか?

とにかく妙に疲れた。こうしてインド二日目はなんとか終了。
このあと、あのような惨劇が繰り広げられるとは、夢にも思わず、俺ら二人は疲れた体を床につけたのであった。

土産を確認する事で、自分の騙されップリを充分確認したが、まだ寝るには早い時間である。
そこでちょっとインドを散歩してみることにする。

どこに向かってよいかわからぬので、ホテルの目の前に大通りがあるので、これを右へ歩いていく。
日も暮れかかっているが、ここでもインド人は沢山道に溢れている。 おそらくデリーと同じく深夜になっても人で賑わっているのだろうな。
それにしても視線が痛い。 あまり声をかけては来ないが、俺達が通ると露骨にジロジロ見てくるのだ。 インド人には日本人(アジア人?)が珍しいのだろうか。 それとも、西洋人とかが通ってもそうなのか?

ちょっと歩くと雑貨や発見。 夜に備えて水を買っておかねばならぬので、昼間騙されたTの代わりに俺様がチャレンジ。

 『ここは観光地ではないので、10ルピーぐらいのはずだ。 高い値段を提示したらサッサと去ろう』

と思いながら値段を聞いてみる。 手には「俺は値段の相場を知ってるぞ」と言うアピールを込めて20ルピーしか持たず、それが相手にも確認できるようにちらつかせる。 すると、「2つで20ルピー」と言われる。 ん? そんなにあっさりで良いのだろうか?

 『さては話に聞く、空きボトルに水道水を詰めたやつでも出したのか?』

と疑って確認したが、ちゃんとキャップの部分のロックもかかっている。 問題なしで拍子抜けである。 まあ、問題無いのだから、それに超したことは無いのだが。

騙されずに水を購入し、意気揚々と散歩を続ける。
すると先ほどの1枚ちょろまかされたインチキ土産屋を発見。 こんなところにあったのか。 しかし、店も閉まっているし、足りない証拠も無いので手が出せぬ。 しょうがないので、ギロリとひと睨みして通過。

途中、牛、豚、犬などは至る所で見かけるが、たまにラクダもいたりする。 さすがにラクダは放し飼いではなく紐につながれているんだな。 象は・・・いないんだな。
街並みだが、ここはピンクシティ内なのでほとんどの建物がピンクでみんな同じに見えてくる。 でもちょっと奥を見るともうピンク色していなかったり、大通りに面したところだけがんばっているのかもしれない。

しばらくするとピンクシティの終わりを告げる大きな門が見えて来た。 Tはインド人の視線に参って弱っている様子なので、そこでUターンして元の道を戻る。

今度はインド子供の二人組が登場し、そのうち一人がやたら英語話しかけてくる。 はっきり言って、俺達より達者である。
相手はインド人とはいえ子供なので、精神的に優位に立てるからか、Tはニコニコしながら子供並みの英語で話しをしていた。
その為か段々つけあがってくる子インド人。 Tもだんだんイヤになってきた様子で追っ払い始めるが、しつこい子インド人。

 「日本人は知らないけど、中国人は知っている。 ブルースリーとジャッキーチェン。 彼らはすごい。」

とか言っていた。
でもそのあといろいろ話していると、どうも日本人と中国人の区別は付いていないようである。

子インド人は、またベラベラと話しをしつづけて、合間合間に何かをねだろうとしている様子。 しまいには、

 「日本のお金を集めている」

とか抜かす、子インド人。

 「んなもの、俺も集めているわい!」

と言い返すが、財布の中に、十円玉と五円玉と一円玉が数枚あったので、それらをやってホテルの前で別れる。

気がついてみると、日の落ちるのが早いのか、結構暗くなってきた。 Tを見るとグッタリしている。 とりあえず、

 「さあ、ホテルの左側も行ってみようか!」

と言ってみると、

 「ん?ええ? おおう、もちろんだぁ。」

と強がるので、問題なしと判断して散歩は続く。

しかし、段々インド人密度が高まってくるは、砂だらけの風が吹き始めるは、Tは巨大牛糞を踏んでブルーになるはで、散歩どころで無くなり、こちら側は早々に切り上げて部屋に戻る。

この散歩で、少しはインド人に対す耐性はできただろうか・・・。