4月 29 2002
2002年04月29日(月) エジプト旅行(第三回):でっかいどー、ピラミッドー
本日の予定はカイロ観光。 主にピラミッド見学である。
特に玄室、それもクフ王のものには是非入ってみたいと思っている。
しかし、午前午後で150人ずつ、合計300人の入場制限をしているらしいので、旅行会社の『ELEGANT VOYAGE』に、車付き日本語ガイドを手配して、ここに行きたい旨伝えてあるのだ。
旅行日程の中でこのガイドをつけるのはいつにするかと悩んだが、とりあえず初日はガイド付きでぶらつく方がエジプトに慣れるのにちょうど良いと言うことで、本日に決定したのである。
7:30にホテルを出なくてはならないので、6時過ぎに起きて準備する。 昨日寝たのは2時過ぎだから眠い。
とりあえずシャワーを浴びて目を覚ますことに。 ・・・うーむ、シャワーの水が出ないぞ。
普通エジプトのホテルで困るのは、お湯が出ない事に対してが普通なのだが、俺達はお湯は出るのに水が出ない。 さすが高級ホテルだ。 普通のホテルとは違うぜ。
しょうがないのでチョロチョロだしながら使用する。 お湯が出ないのも困るが、水が出ないのも結構困ることを知る。
7:30にホテル出発。 既に小型バスと運転手、そしてガイドの人がいた。
ガイドの名前はハッサン。 なので呼ぶ時は、ハッサンサンだ。
若い青年(恐らく俺らより4,5歳下か?)で日本語上手すぎでベラベラである。 なので、インドの時と同じく日本語による秘密会議禁止である。
「私の名前はハッサンと言います。 日本語では、”破産”と言う単語があるので覚えやすいです。」
とか言っていたが、俺はどちらかというと、ドラクエ6のせいで覚えやすかった。
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ピラミッドのあるギザは、一般的にピラミッド・エリアと呼ばれている。これはナイル川西岸に位置するギザ地区と区別するためである。 |
さっそくバスに乗りこみピラミッドの有るギザに向かって移動する。 ギザはカイロの南西にある。
とりあえず気候は暑い。 なので、水だけは手元に手に入れておきたいところである。
ハッサンに相談すると、バスにペットボトルが用意してあるというので売って貰う。 LE2である。 これは、バスで用意しているからで、そこらへんで買えばもっと安いと言われる。 今後のために一般的な相場を聞いてみるとLE1ぐらいらしい。 インドの事もあるのでしっかり頭に入れておく。
移動の道すがら、カイロの街を眺める。
実際目にするまで、エジプトの町並みはどんな風か良くわかっていなかったが、カイロは都会だけあって、普通である。 アスファルトで舗装されているし、車もブンブン走っている。 ビルもあるし、でかいホテルもある。 公衆電話もある。
日本人のイメージでは、エジプトと言えばどこでもそこらじゅう砂漠で、頭に布を巻いてラクダをひいて歩いて、蜃気楼を見ちゃったり、下手すると死ぬとか思っている人は多いのではないだろうか。 特に俺の会社の管理課あたり。
実際そんな感じなのは、今から向かうギザのピラミッド・エリア及びそれ以西のようである。 またピラミッド・エリアは砂漠ではあるのだが、すぐ側には普通に道や店がある。 おそらく、ここが砂漠との境目のようだ。
しばらく進むとピラミッドが見えてきた。
ピラミッドは古代エジプトを代表する巨大遺跡。ピラミッドの建築技術が最も成熟した時期に建設されたため、美しい四角錐の形がほぼ当時のまま残っている。 ギザにある3つのピラミッドの中では、クフ王のピラミッドがが最大。 そのためこれは「大ピラミッド」「第一ピラミッド」とも呼ばれている。 |
これが一番大きな、クフ王のピラミッドである。 デケーッ!
なんか柄にもなく感動&興奮してしまった。 みてるだけで笑える。
もう、なんて言うかでかいとしか言いようがない。 近くで見ると凄い迫力である。
写真で見ると、なんかあまり大きく見えないのだが、あの石一つ一つが、俺の胸の高さほども有ったりするのだ。 相当でかい。
結構離れているのに、写真で全体が入らなかった。
ハッサンにピラミッドの解説をして貰う。
ピラミッドと言う呼び名はエジプトでは通じない。 「最古の建造物」と言う意味の現地の言葉で呼ばれるらしい。
ピラミッドと名付けたのはイギリス人。 昔ここに来たイギリス人がこれをみて、イギリスのピラミッドと言う三角形をしたパンにちなんで呼んだ事で、エジプト外ではこの呼び名が定着したとのこと。
カフラー王のピラミッドを見ると頂上のあたりだけ雰囲気が違うのがわかる。 他の所は上に向かうに連れ石と石との段差が出来、ギザギザになっているのだが、頂上のほうだけ化粧岩でなだらかになっているのである。
あれは昔の名残で、本来ピラミッド全体があのようにされていたらしいが、今は風化して頂上だけ残ったらしい。
他にもピラミッドが造られた訳や、期間、労働力などの解説をうける。 ハッサンは、日本の吉村作治の唱えている説との違いを述べ、
「吉村作治は現地の事をわかってないですよ」
と言っていた事が印象深い。
解説の途中で、その場に無いものを引用する時、「持ってきたガイドブックを見せてください」と言うので、「地球の歩き方」を渡した所、
「おー、『地球の騙し方』ですね。 日本人はこれ持ってくる人が多いですね。」
と言っていた。 やはり現地ガイドの目から見ても、変な記述が多いようだな。
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いよいよピラミッドに突入する。
入り口は本来の入り口ではなく、盗掘された時の穴を利用する。
何故本当の入り口を使わないのかはよくわからない。 位置が高すぎるのか、それとも未だに開いてないからだろうか。
ハッサンは外で待っているので、
「天井が低いので頭をぶつけないように」
と注意され、3人で中に入る事に。
中に入ると天井は確かに低い。 なんといっても観光用ではなく、盗掘用だからそんなに大きくは作られていないのだろう。
案の定、注意されたにもかかわらず、Nは頭を強打してのたうち回っている。
Nに、自分の頭は壊しても、ピラミッドは壊さないようにに厳重注意して先に進む。
盗掘用の通路だからだろうか、内部の道は細く狭い。 天井も低く屈まなくてはならない所も多い。 あとなんかヒンヤリしている。
チョット行くと下に行く階段があり、恐らく王妃の間へ続いている物だと思うが、何故か、鉄格子がはめられて立ち入り禁止になっているので入れない。
さらに行くと、上に上る階段がある。 その上に王の玄室があるようだ。
T、N、俺の順に階段を上る。 階段は結構急で長く、その上天井が低いので、ずっと中腰で登らなくてはならず、結構きつい。 Tは、
「もうおれ、玄室見なくてもいいかも」
とか挫けかけている。
奴が登らないと俺が進めないので、なだめすかしながら登らせ、やっとこ玄室に到着。
玄室は小部屋であり、中は真っ暗。 一応一つ小さい蛍光灯があるのだが、そんな物では全然明るさが足りないのである。
物も石で出来た棺らしきものがぽつねんとおいてあるだけである。
棺も蓋は無く、角も欠けてしまっている。 そして人が横たわるにはチョイと小さいと思うのだが。
中も当然空である。 しょうがないので自分が中に入ろうかと思ったが、呪われそうな気がするのでやめておこう。
日本人の幽霊でも嫌なのに、エジプト人の幽霊に呪われても言葉がわからず難儀してしまうし。
なにか派手な装飾とか有るのかと思ったのだが、どちらかというと牢獄チックであるなぁ。
とりあえず玄室に入ると言う目標は達成されたが、大した物ではないな。 まあ、ここを見た人はみなそう言うらしいが。
あとピラミッドでやってみたい事と言えば、ピラミッド登頂である。 袖の下を渡すなりすれば、なにやら夜中の内に忍び込んだりして登ることも不可能ではないらしい。
そして夜明けまで過ごして見る日の出が素晴らしいとか。
その代わり夜中に突風で飛ばされて転落死する人も後を絶たないらしいが。 まぁ、この度は時間的余裕もないので、これはやめておくけども。
とりあえずは、この旅の目標の一つを達成だ。 順調である。
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4月 29 2002
2002年04月29日(月) エジプト旅行(第四回):嘘つきラクダ使いは職を失う
カフラー王のピラミッド
ピラミッドを出ると、三大ピラミッドが一望出来るパノラマポイントに向かう。
途中、カフラー王のピラミッドの近くを通る。 上部の方をみると確かに化粧板で覆われている。 あれが全体に施されていたのなら、制作当時はさぞかし美しい様相を呈していたに違いない。
パノラマポイントに到着。
遠目に三大ピラミッドが見える。 でもピラミッドが小さくて、あんまり面白くなかった。
次にスフィンクスが有る所に向かうのだが、希望するならラクダに乗ってそこまで移動する事にしてもいいとか。
パノラマポイントにはそれを生業としているラクダ使いが沢山いる。
ただし、金額は一人$20と高め。 つか、相当高いと言える。 そのため財布を忘れたTは渋るが、俺は是非乗りたいのでお願いすることにした。
たぶん$20の中にはハッサンの手数料も含まれているのだろうと思う。でもこちらも納得した金額内で確実に手配してくれれば、どうやりくりしてくれても構わんだろう。
こういった時の交渉手腕次第で、どれだけ浮かすかがガイドの(自分のための)腕の見せ所に違いない。 その代わり揉め事でもあれば、ちゃんと交渉してくれるだろう。
なんか、途中まで連れて行って、「ここからは別料金だ」とか言い出して、払わないと砂漠に置き去りにする被害にあった話しとかなんかで読んだこと有るし。
ラクダのミッキー
ミッキーとは洋風な名前であるな
ハッサンはいつも利用するラクダ使いがいるらしく、そのラクダ使いを手配すると、車で先にスフィンクスにむかった。 我ら3人とラクダ使い1人は、3匹のラクダで向かう。
ラクダの背は結構高い。途中他のラクダも見かけたが、俺達のラクダは特にでかかった。
ついでなのでよく観察してみる。 ラクダは砂地を歩くため、馬と違って蹄ではなく肉球の様に柔らかいらしい。 みると確かにそんな感じであるが、触ろうとしたらラクダのミッキーに睨まれたのでやめておいた。
背中に乗るとラクダはまず、後ろ足を伸ばす。 グイーンと前のめりになるので、下手すると落ちる。
なんとか踏みとどまってホッとしていると、今度は前足を伸ばすので、今度は後ろ向きにあおられるので、下手すると落ちる。。
この二段階による攻撃で落ちる人は結構いるらしい。 要注意である。
ラクダに揺られて砂漠を歩く。 結構ゆれるが、のどかでよろしい。
三大ピラミッドもパノラマポイントの時より近くて良い眺めである。
三大ピラミッド
ラクダ使いは、しばらく歩くと、ラクダを走らせることにしたらしい。
俺の乗っているラクダにのっかり、ラクダを走らせ始めた。 繋がれた2匹も一緒に走り出す。
よりによって俺の乗っているラクダにラクダ使いが乗ったため、かなり窮屈である。 しかし、結構ゆれるが走るのも楽しい。
でも、Tは揺れにより気持ち悪くなったらしく、
「胃腸が・・・、胃腸が揺れて。 内蔵が・・・。 まだ着かないのか。 おちる。 おちるぅ~」
と一人で騒いでいた。
Tにとってこの出来事は、「高額で苦痛を買った」と言う扱いとなってしまったようで、後々まで(日本に帰っても)ブツブツ言っているのである。
しばらく走ると、スフィンクスの近くに到着したらしくそこでおろされる。 まだハッサンは来ていないようだ。
すると、ラクダ使いが俺の方に寄ってきて、
「チップをよこせ」
と言ってきた。 おかしい、ハッサンは$20でラクダ使いに渡すチップ分も含めてあるので、(もちろんあげたければ構わないが)チップを渡す必要はないと言っていたのだ。
しかも要求してくるのは、現地のLEではなく、ドルで1人につき$2である。
まだ相場が良くわからないが、1人$2だと全部で$6、LEに換算するとLE26にもなってしまう。 さすがにそれは取りすぎに思える。 それに自分から金額を言うのも図々しく変だ。
まぁその程度の金額は日本の感覚なら全然払えるのだが、後の日本人が侮られるので不当なものなら支払いたくないのである。
ハッサンもまだ来ないし、ラクダ使いの『当然の事だ』といわんばかりの堂々とした態度に、そんなもんなのかと言う気持ちもあり、仕方なしに渡してしまった。 でも、1人頭$1にしたのだが。
それにしても、楽しかった気分台無しである。
Tは最初から楽しがってないので、よりつまらなそうな顔をしていた。
Nもつまらなそうな顔をしているが、ラクダで走っている途中に、首に巻いていたバンダナが飛んでいったらしく、それを悲しんでるだけかもしれない。
しばらくするとハッサンがにこやかに登場。 しかし、我ら三人は憮然とした表情である。
するとラクダ使いはハッサンに近寄り、なにやら話している。 するとハッサンの眉が曇りだし、俺達に、
「ラクダ使いが、あなた達に$1づつ貰ったと言ってます。 これはあなた達が進んであげたのですか?」
と聞いてきた。 ラクダ使いは媚びるような顔をして俺の顔を見ている。 チャンス到来。
「違いますよ。 あの人が自分から要求してきたんです。 しかも一人あたり$2を。」
と、先生に告げ口する学級委員長のように、ここぞとばかりに説明する。
それを聞たハッサン、ラクダ使いに大いに怒る! ラクダ使いタジタジである。
そしてハッサンはラクダ使いからチップをむしり取り、俺達に返してくれた。
その後、スフィンクスに向かう間も、ハッサンはプリプリしていた。
それにしても、あのラクダ使いはいつも利用しているラクダ使いではなかったのだろうか?
今まではトラブル無かったのか気になる所だが、話しを聞くと、本当はあのラクダ使いの父親を雇っていたそうである。 しかし、今日は休みなので息子の奴を雇ったらしい。
「もう二度とあのラクダ使いは使わない!」
と、怒っていた。
それにしても、ラクダ使いは正直に言わずに、こっそりしまって置けば良いのになんでハッサンに報告したのだろうか。 と疑問に思い聞いてみると、
「それが後でバレると、二度と雇って貰えなくなるので、あななたちが進んでくれたと言う事にしたんですよ。
彼にはチップ分も含めてちゃんと渡してあるんです。」
との事だ。 どちらにしろ、彼はハッサンには二度と雇って貰えない。 自業自得である。
まさにエジプトのことわざ、「嘘つきラクダ使いは職を失う」(*注1)である。
しかしまぁ、試しに言ってみたら沢山取れるのかもしれないのだから、
「多めに言うだけ言ってみて、貰えれば儲け」
と思っているのだろうな。 $2なんて、向こうにしたら結構いい金額だし。
まぁ、またラクダに乗るというこの旅の目標の一つを達成だ。 順調である。
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(*注1)「嘘つきラクダ使いは職を失う」
俺がエジプトにいる間に創ったエジプトのことわざ。
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By 俺様 • 2002年 トレンディエジプト旅行 • 0