中国見聞録(2) 1992年7月27日(月) 北京亜洲大酒店

 

バスに乗る時に、目的の「工人体育館」は空港から何番目の停留所か確認していたのだが、出発してしばらくすると、今が空港から何番目の停留所かわからなくなった。どうもバスは決められた停留所だけでなく、違うところでも停まったりしている様子なのである。

Tに聞くと、「工人体育館は次だ。」と自信満々で即答するので降りる。そして、そこは予想通り間違っていた。

この程度のトラブル、まだ余裕あり。

この程度のトラブル、まだ余裕あり。

どうせ、1停留所ぐらいの距離なので、地図を見ながらバスが走っていった方向に向かって歩き出したが、どうも地図がまわりの地形と合わない。近くに居たタクシーの運転手が何か言っているが内容が分からず、とりあえずホテルを告げて乗ることにした。何故かひとりあたり10元と言う料金設定ったが、二人で20元ならまだまだ上手く行っている方である。

タクシーは北京亜洲大酒店に問題なく到着。
ホテルと周りを地図で確認したが、どうも持っている地図の記載が間違っているようだ。こいつを信頼し過ぎたのが敗因か。旅行においては地図だけは間違いないと信じきってしまうが、これは危険なことかもしれないと、ふんどしを締め直すことにする。

フロントでは、身振り手振りでなんとかやりとりし、ボーイに部屋へ案内される。部屋にはテレビも有り、バルセロナオリンピックをやっていたが、映りは悪い。
ボーイは一通り部屋の中を説明を終えたのだが、チップを払うんだろうか。このホテルは一般的に中級以上で払うべきなのだろうけど、どうやっていくらぐらい渡すのかわからん。
そこで、Tに対応させようと目論み、テレビに夢中なふりをしてみたが、Tも何も特に動かず、ボーイも諦めたのか、もともと受け取らないものなのかわからないが、直ぐに部屋を出て行った。

とりあえず部屋に落ち着き一安心。
凄い疲れたが、あとは寝るだけだとホッと一息ついた所、部屋の電気が消えた。まわりを見ると、部屋の電気だけでなく、あらゆる電気製品が止まっている様だ。
どうしたのかと思えば、Tが部屋のルームキーが珍しく、電気が連動してる事を知らずに抜いた様である。
ルームキーが珍しくても電気が消えたらどんなものか見えないだろうに、いつまでたっても電気が復活しない。「早く挿しなおして」と催促したら、どうもキーが入らなくなってしまったらしい。ホント余計なことをする。
Tはしばらく格闘したが、どうしても入らず、フロントにも電話したが、得意の英語が通じず、電話を切られてしまった様だ。
そのままTの格闘に任せたが一向に復電する様子がない。もう、電気が消えてから1時間ぐらい経過している。

「いったい中国のルームキーは、どんなに複雑な仕組みなのか」、と俺がカードを受け取り、差し込んでみると普通にささり、復電した。Tは一体何をやっていたんだろうと不思議で仕方がない。

ようやっと、あとは寝るだけと、こんどこそホット一息ついたとたん、隣のTが大いびきで既に寝付いている。かなり大きくうるさく、眠れぬ。

なんか、本気で帰りたくなってきた。