FSさん(その3) | 俺様について

 

FSさんは昔からいろいろな格闘技を学んで来て、今は中国武術を学んでいる。 練習は人に見られたくない為、練習場所を見つけるのに結構苦労するらしい。
FSさんは近所に暗くて人気の無いお寺を見つけたので、そこでは夜中に練習することにしている。 なんで夜中かというと、あまり早い時間だとそれなりに人が来るからだ。

ある日いつものように、練習をしているとなにやら人の気配がする。 しかしあまり気にせず練習を続けていると。

 コォーン・・・ コォーン・・・

と辺りに響き始めた。 物音をたてずに音のする方に近づいてみると、なにやら白装束の女がワラ人形に五寸釘を打ちつけているではないか! なんか、やばそうなので、その日はそのまま家に帰った。

次の日も同じ様な時間に練習にいくFSさん。 すると今日もまた人の気配がし、

 コォーン・・・ コォーン・・・

と辺りに響き始めた。 近づいてみると、やはり昨日の呪い女がワラ人形を打っている。 その後方を確認すると、ちょっと離れたところに茂みがあるので、そこに潜むFSさん。 今日はFSさんの手には空気銃が握られている

FSさん、ねらいをすましてパシュッ!! ペシッ!! と女の背中に当たる。
ビックリして振り向く呪い女。 だが、向こうからは茂みに隠れているFSさんの姿は見えない。 しばらく怪訝そうに辺りを伺っていたが、しばらくして釘打ちを再開する。

FSさん、ねらいをすましてパシュッ!! ペシッ!! と今度は女の後頭部に当たる。

 「痛ッ!!」

声を出してしまう呪い女。 今度は振り向くなり無言でトンカチ振り上げて茂みに向かって走ってくる。 FSさんを発見したわけではなく、茂みに誰かがいると確信して闇雲につっこんできたようで、FSさんの横を凄い勢いで通過。

息を潜めていたFSさんがホッとして後ろを振り向くと、 どうやらすれ違いざまに発見されたらしく、無言で後ろに立っている呪い女。

 「ぬぉわー!!」

ダッシュで逃亡するFSさん。 呪い女も後を追って走ってきたが、さすがに鍛えられたFSさんの足にはかなうべくもなく、逃亡成功したらしい。

 「いや~ 恐かったよ」

とFSさん。 だったらすんなよ
しかし、今度は自分が呪い女から空気銃で撃たれるかも知れないと、あの練習場所は諦めたらしい。