2005年8月16日(火) その3 チェンマイ外れで漫画購入 | タイ旅行(19)

 

ワット・チェン・マンを後にし、城壁の北門にあたる、チャン・プアク門を出る。

道ばたに笑福亭鶴瓶発見

道ばたに笑福亭鶴瓶発見

その門の近くには屋台街が有るようなのだが、まだ時間が早いようでぽつりぽつりとしか、店がないので再び城壁の中に戻り、ワット・プラ・シンに向かう。
しかし、またまた途中で雨が降り出したので、近くの食堂に入り飲み物を買って、雨宿りを兼ねて休憩。

店はまだ食事の時間ではないので、酔っぱらいの老人と、店のおやじさんと、その奥さんがいるだけだ。 酔っぱらいの老人はなにやらご機嫌で、俺に色々話しかけてきた。
さらに、この店のおやじさんは、仕事で日本の京都と奈良に行ったことがあるらしく、その時の話やら何やら皆で雑談する。

雨が止んだところで、再びワット・プラ・シンに向かう。
ワット・プラ・シンは、チェンマイの街のほぼ中央に位置する、市内最大の寺院である。
中には寺の名前にもなっている、プラ・シン仏が安置されている。 これは1400年にチェンライから移されたものだが、1922年に頭部が盗まれ、いまは複製が置かれているようだ。
そう言えば、タイのムエタイ映画の「マッハ!」も仏像の頭が盗まれてそれを取り返す話だったな。 あの映画を観た時は、「どういうシチュエーションだ」と思ったが、タイでは実際にそう言うことが起こっているんだなぁ。

…なんて事を考えながら歩いていたら、こんなに大きい寺院にもかかわらず、何故か入り口が見あたらず裏側に出てしまい、観光しそこねた。 まぁいいか。

ワット・プラ・シンの裏側は、城壁の西門にあたる、スアンドーク門がある。
ここを抜けて更に西に向かうと、ワット・スアンドークが有るようだ。 それをみて、なんだったら帰りにプラ・シンを見ようと、ワット・スアンドークへ向かう。

スアンドークへ向かう道は、結構大通りで車が沢山通っている。
途中、本屋を見つけ、面白そうなので入ってみる。
中は、漫画だらけであり、しかも九割は日本の漫画だ。 当然全てタイ語に訳されてる。
それにしても、凄い量だ。 日本の漫画なんだろうけど、俺は知らない様なマイナーな漫画も沢山ある。 こりゃあ日本より日本の漫画が充実している気がするぜ。

そう言えばチェンマイに向かうバスの中で見かけたジョジョの事を思い出し、探してみるが本が多すぎて見つからない。
そこで店員に、「ジョジョ」と言ったら、通じた(けど笑われた)。 案内された場所を見るとジャンプ系の漫画が並んでいた。 パラパラと中を見ると当然タイ語である。 擬音の所もちゃんと綺麗にタイ語の擬音に書き直されているな。 昔、中国で買った日本の漫画(海賊版かもしれない)は、擬音の所も描き直しなどされず、上から漢字を重ねただけという横着さだったので、タイの方が気合いが入っていると思われるぜ。

それにしても、ジョジョと言えば、「ドッギャーン」や「ズキュウウウン」などの擬音だ。
タイ語は20以上の母音、44の子音、5つの声調があり、日本語以上の表現力を持っていると思われるので、どのように再現されるのか興味がある。 そこで早速「ズキュウウウン」を探してみる。 あったぞ。

ズキュウウウン

ズキュウウウン

ズ、ズキュウ… あれ? いかん、俺はタイ語が読めないから、どんな発音するか、わからんじゃあ無いか。
発音さえわかれば良いのだが、漢字と違って辞書が有ったところで、その文字のひき方もわからん。 誰ぞタイ語読める人に発音して貰わないと駄目だなこりゃ。
まぁ、「なっ!何をするだァー」の方だけは、この誤植ップリをタイ語で正確に翻訳するのは無理だろうと言う事は解るが。

なっ! 何をするだァーッ             ゆるさんッ!

なっ! 何をするだァーッ
ゆるさんッ!

君がッ バンッ 泣くまで ボガッ!             グオオッ 殴るのをやめないッ! ドッガァァン

君がッ バンッ 泣くまで ボガッ!
グオオッ 殴るのをやめないッ! ドッガァァン

う~む、そこら辺を歩いているタイ人を呼び止めて擬音を読み上げて貰おうか…。 そいつは、あまりに変な外人と思われそうで、実行できぬな。

そう言えば、漫画と言えばもう一つ。
ドラゴンボールで、悟空が海王の所で、「布団が吹っ飛んだ!」と言うだじゃれを言って、低レベルなだじゃれにもかかわらず界王が笑ってしまい、修行が許されると言う場面がある。
以前中国旅行に行ったとき、その部分のドラゴンボール中国語版を買ったところ、そのだじゃれ部分が「布団が飛んだ」と言う意味の中国語に直訳されており、「これでは意味不明だよなぁ」と思ったのを思い出した。

タイ語でも直訳なんだろうか? それとも、タイのダジャレに置き換えられているのだろうか? と興味がわき探してみる。 あったぞ。

布団が吹っ飛んだ!             まるでナメック語での会話に見える

布団が吹っ飛んだ!
まるでナメック語での会話に見える

布団が、…あれ? そうか、俺はタイ語が読めないんじゃないか。 さっきの擬音は発音さえすればまだ良かったが、こっちは意味までわからないと駄目だから、そこら辺を歩いているタイ人を呼び止めて擬音を読み上げて貰っても駄目だ。

まぁ何せよ面白いのでこの2冊を買っておこう。
しかしそれにしても、なんか本がやけに汚い。 表紙にバーコードが貼られていたり、中にスタンプが押されていたりする。 もしかして、ココは古本屋なんだろうか?
「定価に35Bと書いてあるが、古本なら安くなるからいいや」と思いレジに持って行くと、二人いる店員がなんか不思議そうな顔をしてる。 タイ語が読めるのか心配してるんだろうか? それなら単なる興味で買うだけなので心配は要らないのだが。

しばし、店員が二人で何か相談し、二つで70Bと言われた。
う~む、定価って事は、ここは古本屋ではないんだな。 それにしてはあまりに汚い状態だが、これがタイの漫画のクオリティなんだろうか…。

店を出て少し歩くと、また先ほどと同じような本屋を発見。
本屋を見ると無条件に入ってしまう修正がある俺は、フラフラと再び店に入る。 ここもさっきの本屋と同じ雰囲気であり、日本の漫画だらけである。
また、1冊手に取ってレジに持って行くと、不思議そうな顔を顔をされる。 またか、と思っていると、

「for rent」

と言われた。 どうやらここは貸本屋らしい。

ここは、と言うかさっきの店も貸本屋だったのに、俺が無理矢理買い取ってしまったんだな。 変な外人が訳も解らず買おうとしているので、「定価でならまた買い直せばいい」と売ってくれたに違いない。

そう言われてみれば、本の最後に貸出カードのような物があったりする。 所々押されているスタンプも、店の名前か何かなんだろう。 納得である。

今回は買えずに店を出て、改めて先ほど買い取った漫画を眺める。
なんか眺めるだけでおもしろのだが、やっぱりなんか違和感があるなぁ。 もちろん、タイ語であるとか、汚れて汚いというのは了解しているのだが、なんか内容になんか違和感を感じる。

以下は、日本に帰ってから日本版と比較して気付いたのだが、色々な原因があるようだ。

まず、よく見ると日本のコミックとページの高さは変わらないが、幅が広い。 そんでもってその分、余白が多いわけではなく、横に引き延ばされているので、みな少し太めに成ってしまっている。

あと、なんと言っても、本の開く方向だ。
日本のコミックは左開きなのに、タイでは右開きである。 これは中国の漫画もそうだった。 その国の本のめくる方向にあわされてしまうもの様だ。
そんでもって、本は右開きに成っていて左から右へとページが進むのに、ページ内のコマの進み方は、日本と同じ右上から左下に向かう様に進むので慣れない内は読みづらかったりするのだ。 これは実際にそう言う物を見ると凄く感じると思う。

…所がタイ版は、

左:日本版/右タイ版

左:日本版/右タイ版

ページが反転印刷までされているのだ。

う~む、これなら右開き文化の国でも、違和感なしに読むことが出来るかもしれないな。 手間がかかっているよな。
俺が感じた違和感は、日本語版を何度も読んだが為に起こった事で、右開きの文化の国ではこの方が自然に感じるだろうな。

…そうすると、ジョジョの3部の、Jガイルはどうなってるんだろう。 Jガイルは両手が右手の男だが、反転印刷されたら、両手が左手に成ってしまうと思うのだが。
このタイの漫画翻訳クオリティを見る限りは、ちゃんと両手が左手の男と訳されているんだろうな。

ここまで丁寧に翻訳版を作成されてるとなると、タイの人は日本の漫画だと思わずに読んでいる人も多い気がするな。